ロシアの政治・経済を支配するシロヴィキの実態
―― 連邦保安庁というロシアの新エリート層
Russia's New Nobility
2010年12月号掲載論文
ソビエト時代の国家保安委員会(KGB)は非常に大きな力を持つ組織だったが、それでも政治体制の枠内に置かれ、共産党がKGBをあらゆるレベルで監視していた。だが、KGBとは違って、今日のFSB(連邦保安庁)は、外からの監督も干渉も受けない。プーチン時代に入ってから2年後には、FSBはソビエト時代のKGBよりもパワフルで恐れられる存在となり、政治、外交、経済領域での大きな権限から利益を引き出していた。これは、かつてのKGBのオフィサーだったプーチンが、信頼できるのはFSBだけだと考え、この10年間で、国家機関、国営企業の数多くの要職にFSBの人材を任命した結果だった。メドベージェフ大統領が本気でロシアを近代国家に作り替えるつもりなら、まったく制御されていないFSBではなく、国の安全の擁護者を新たに作り上げる必要がある。
- なぜFSBはKGB以上の力を持っているか
- KGBの役割は何だったのか
- 情報治安組織によるクーデターを恐れたエリツィン
- プーチンの登場とFSBの台頭
- FSBはモスクワの政敵を監視する
- 「選択的監視体制」の誕生
- 特権層としてのFSB生
- シロヴィキ内の抗争
- モスクワの利益、FSBの利益
- ロシア流パラノイア政治
- 暗黒の騎士
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